第1話から読んでない方はホームからどうぞ。
中学校生活の最後の夏休みが終わってしまった。
いよいよ受験シーズン到来だ。
周りのガリ勉たちがピリピリしてきた。
僕は、軽く合格できる近所の高校に進学を決めていたので、受験のことなんかそっちのけ。
そのガリ勉たちを、高みの見物とばかりに決め込んで遊んでいた。
今日の保健体育の授業は、先生が体調を崩して自習となったので、暇つぶしに隣でカリカリと鉛筆の音を立てているガリ勉君をイジってみることにした。
「ねぇ、そんなに勉強してどうすんの?」
「んッ? いい大学に入って、いい会社に就職するためだよ」
そのガリ勉君は勉強の手を休めずに、面倒くさそうに答えてきた。
「ふ~ん、で、いい会社に入って何すんの? っていうか、どんな仕事がしたいの?」
「そんなのまだ全然決めてないよ」
「どんな仕事がしたいのか全然わかんないのに勉強してんの?」
「・・・・」
(ちくしょう、乗ってこねぇな… まぁいいや、続けよう)
「ねぇ? なんのために勉強してんの?」
「お前ねぇ、勉強しておかないと、イザ、自分が何かをしたいと思ったときに出来ないかもしれないじゃないか。だから勉強してんだよ」
(おッ、乗ってきやがった)
「なぁんだ、お前、{イザ}のために勉強してたのか… 変わってんな」
「…オレは、お前とは違うんだよ!」
だんだん、ガリ勉君の眼が吊り上ってきた。
(怒ってる、怒ってる… よしッ、トドメの一撃だ)
「お前さぁ、テストの答えより、その答えの方が先なんじゃないのか?」
「・・・・」
ガリ勉君がワナワナ震えて、みるみる顔が紅潮してきたかと思うと、
「うるさいんだよお前ッ、あっち行けッ! ジャマなんだよッ! お前はそうやって、チンタラ生きてキリギリスみたいになりゃいいんだよ!」
凄い剣幕で消しゴムを投げてきたので、僕はスタコラサッサと退散した。
(今日の獲物は、まずまずだったな。でも何でこのくらいのことで怒るんだろ?)
とまぁ、こうやってたまにガリ勉君をからかって、暇をつぶして遊んでいた。
しかし返ってくる答えは、いい会社に就職するため・医者になりたい・まだわからない、みたいな答えばかりで、僕を満足させる者は誰ひとりとしていなかった。
でも、{ママがうるさいから…}と、うつむいて悲しげに言われたときには、さすがの僕もお手上げ状態…
逆に、{大丈夫だよ、頑張れば良いことあるよ! きっとね}なんて、励ますハメになってしまった。
僕は、サっちゃんのこともあったせいか、みんなの答えに何だかピンとこなかったので、自分の過去に{勉強・仕事}というキーワードで検索してみることにした。
**********
昼休みに誰もいない部室の屋根に登った僕は、胡坐をかいて眼を閉じた。
小鳥のさえずりが聞こえ、それがだんだん遠くなっていく…
かわりに、キーンという耳鳴りの音が、脳を支配するように響き始めた。
最大音量になったその耳鳴りは、やがてゆっくりと潮が引くように消えていった。
すると、
{人様や世の中のお役に立てるように、シッカリ勉強して立派な人間になるんだよ}
その言葉が浮かんできた。
でも、{脳はウソをつく}ということを学んでいた僕は、それを疑った。
その浮かんだ言葉が、何かのインパクトだけで植え付けられていないかどうかを疑った。
そして、自分で勝手に作り出していないかどうかを何度も何度も検証した。
(間違いない、僕は幾度となく直接聞いている。テレビドラマも含めてだ)
僕は屋根から飛び降りて、教室に向かいながら結論づけた。
(やっぱりそうだよな。勉強や仕事ってのは、手段なんだよな)…と。
その日の学校は、ため息のように終わった。
**********
(退屈だな…とりあえず、おじいさんのとこにでも行ってみるかな?)
川の下に行くと、性懲りもなく下手クソな釣りをしているおじいさんがいた。
「フォッ、ホッ、ホッ、なんじゃ少年、3つの常を使って遊んでおるのか」
「アハハハ、まぁね。暇つぶしに3つの常はもってこいだよ」
「やられた方は大変じゃのぉ」
「みたいだね。でも、そのおかげで煙たがられるけどね。アハハハハ」
「フォッ、ホッ、ホッ、それで少年は、手段が嫌いなのかな?」
(さぁてと!)
僕とおじいさんの挨拶は、おじいさんのこの質問で終わったようだ。
「いや、嫌いとかそんなんじゃないよ。必要だって思ってるよ」
「ふむ。では、目的と手段が入れ替わる…というのなら、どうじゃな?」
「最初は本末転倒だって思ってたけど、手段が目的になっていても、それでもいいんだって思えるようになってきたよ」
「ふむ」
「飛行機や車だって勉強したヤツが作ってるし、そこで働く人たちだって、給料や知名度だけで、その会社に入った人も多いだろうしね」
「うむ」
「だから、理由なく勉強に打ち込んでるヤツはいていいんだよ…っていうか、勉強するヤツがいないと困るかな? その恩恵を受けらんないからね。アハハ」
「ふむ、だいぶ肩の力が抜けてきたようじゃのぉ」
「そんなことないよ。装ったり、利用するヤツのパターンが色々見えてきたから、そいつらのことが益々嫌いになってきたよ。まぁ、僕の3つの常がそうさせているんだけどね…。いい加減、お前いったい誰だよって感じだよ。ハハッ」
「ふむ、そうか」
僕は、今こうやっておじいさんと話をしていても、自分の中に住んでいる、もう一人の自分…
そして黒い物体の内部との関係性が、頭の中をグルグルと駆け巡っていた。
**********
「んでさぁ、話は変わるんだけど、前におじいさんから{過去}を勉強しろって言われてから、まぁ僕なりに勉強して気がついたんだけど、チョット聞いていい?」
「ほぉ、なんじゃな?」
「動機という原因があって、表現という結果が起こるんだよね?」
「ふむ、原因と結果の法則のことか」
「うん、そうなんだけど、でもその先は表現という結果が原因となって{生み出されたモノ}っていう結果になるよね?」
「ふむ、そうじゃのぉ」
「でも、元をたどれば、動機という原因は結果でもある。ということだよね?」
「ふむ」
「じゃぁ、動機という結果の原因は、いったいなんだ?…ってことなんだよ」
「ふむ」
おじいさんが眼をつぶって深く頷いた。{続けよ}のサインだ。
「んで、気が付いたんだけど、僕が前に青色が好きって言ったの覚えてる?」
「マユミちゃんのことじゃな?」
(なんだよ。名前まで覚えてんのか…)
「まぁつまりなんだその… 僕がマユミちゃんのことを、なぜ好きかってことなんだけど、ある本を読んでると、世界では太っている人や首の長い人なんかがモテる国があるみたいなんだよね。僕が住んでいるこの国も、昔はふくよかで細い目をした人を美人って言ってたみたいだしさぁ」
「ふむ、そうじゃのぉ」
「それで思ったのが、もし僕が細い目の女性を美人だっていう国に生まれてたとしたら、マユミちゃんみたいなパチクリ眼の女の子じゃなくて、細い目をした女の子を好きになったんじゃないか?…ってね」
「ということは?」
「マユミちゃんのことを、かわいい、好きだって思わせるモノが、僕の中に植え込まれているってことになるんだよね… 結果なんだけど…」
「ふむ、そのモノとは、なんなのじゃな?」
「ん~、なんて言っていいかよくわかんないけど、洗脳っていうのかなぁ?…どう言ったらいいんだろ? とにかく、みんなの意見とか周りの風潮を何も疑わずに当たり前のように思い込んでる… みたいな感じかな?」
「ふむ、ほかにはあるかの?」
「色々ありすぎてどれを話していいかわかんないけど、とりあえず僕が生まれてから、僕に植え付けられたモノだっていうことはわかるよ」
「ふむ」
「でも僕っていったい何者なんだろ?って思ったら、気味が悪くなってくるよ。だって自分で決めたことが、実は自分で決めてなくて、決めさせられてるかもしれないってことなんだからさぁ…」
そう言って黙っていると、おじいさんの眼がやっと開いた。
「ふむ、そうか。それは動機の原因のひとつ、{刷り込み}ということじゃな?」
「刷り込み?」
「ふむ、本来は少し違うのじゃが、その方がお主にとってはシックリくるじゃろ」
(そうだよな… 洗脳っていうと何だか作為的な感じがするよな...。でもみんな、それを当たり前のように、やったり言ったりしてるんだよな。気味悪いけど…)
「うん、なんとなくだけどわかるよ。刷り込む方は意図的じゃないからね」
「意図的か… ふむ。では、ほかに気がついたことは?」
「そこなんだよねぇ、おじいさん… う~ん」
僕は、ため息をつくようにしゃべったあと、軽く口をへの字に曲げた。
そんな僕を、おじいさんはジックリと待つ気だ。
「まぁ、ゆっくりと考えて話すがよい」
そう言うと、のんびり釣り糸を垂れ、僕が話しやすいように気を消してくれた。
**********
ピューーーーー
電線を通る風が笛のように鳴る中、僕はアレコレと考えてみた。
(まず僕がいて、僕を操縦する僕がいる… でも僕を操縦する僕は、1人じゃないみたいだ… 2人いるのかな?操縦士って… いやもっとか? しかし、そうだとしても僕の考えや表現は、必ず3つの常を通して出てくるよな? なんだこりゃ.….)
頭の中の整理がつかないままだったけど、への字口を戻すと勝手に口が開いた。
「やっぱり、3つの常が絡んでくるんだよね。3つの常が生み出すっていうか、作り出す共通の考え方っていうか、認識っていうか、一般常識っていうかさぁ」
「生み出す、ではなく、作り出す?」
「うん、生み出すのは、その考えを作り出したあとだよ。生み出す前提ってこと」
「ふむ、ではその考え方というのは、ひとことで言うとなんじゃな?」
「ひとことで?」
「うむ、前に教えたと思うのじゃがのぉ」
僕の思考回路がマッチング検索してるみたいにカタカタと鳴り始めた。
「あッ、普通だ! 観念とか概念の普通だ」
「ふむ」
「あッ、チョット待ってよ… ん~と、そうか! だったら僕は広い社会の集団の普通と、僕の周りの狭い範囲の普通に刷り込まれたってことになるよね」
「ふむ、だいぶ勉強が進んどるようじゃのぉ。ではわかりやすいように、広い社会の集団の普通を{全通念}とでもするかのぉ」
「じゃぁ、狭い集団は?」
「村通念… ではどうじゃな?」
「あッ、いいねそれ。わかりやすくていいよ。村通念か… アハハ」
ピキューーーン
笑っている最中に稲妻が走った。
その稲妻が僕の思考回路をスパークさせて、別の思考回路に飛び火した。
「おじいさん…」
「ふむ、どうしたのじゃな少年」
「チョット待って、整理するから…」
僕は、飛び火した思考回路を総点検した。
(家族、先生、保育園、友だち、小学校、中学校、地域、国、世界、の集団。そして、刷り込み、思い込み、etc.)
考えれば考えるほど、何から話していいかわからなくなった僕は、とりあえず、おじいさんとの一番最初の思い出から話してみた。
「おじいさん、保育園のときのチョコレートの分け方のことなんだけど…」
「ふむ」
「あの分け方は、僕の村通念では正解で、ほかの集団では正解とは限らないってことになるよね?」
「ふむ」
「…僕、あの分け方が正解だって思ってたよ…」
過去の僕の高慢ちきな鼻を、ペキッとへし折られた気分になってガッカリしてしまった。
でも、おじいさんはそんな僕をお構いなしに質問してきた。
「ふむ、ほかにはあるかの?」
(少しは慰めてくれたって… まぁいいや、気分を戻そう)
「けなし合いかな??? あの遊びは僕の保育園の友だち同士の集団でのみ、通用する遊びだったんだよ」
「ふむ」
「つまり僕の普通は、ごく限られた普通だってことだよね?… 村通念の」
「ふむ、そういうことになるのぉ」
「あと、僕の村通念と、他の通念は一致している部分もあるけど、ズレがあるってことにもなるね。不一致とでもいうのかな?」
「ふむ、一致と不一致か…」
「そしてもうひとつ、僕自身のAさんBさんっていう不一致もあるんだよね」
「ふむ、それでは少年には、少なくとも2つの不一致が存在するということじゃな?」
「うん」
「ふむ、では一致と不一致によって、何が起こったのじゃな?」
「!」
おじいさんが、僕の思考のメイン回路を探ってきた。
(さぁてと、ここからが核心部分だ)
僕は適度な緊張感を持って、おじいさんに、いや、僕自身に挑んだ。
**********
おじいさんの質問に、僕は答えるしかなかった。
決していい気分とは言えないけど、でもなぜか僕の思考回路は静かに、そしてリズムよく正確に動いて僕の口を開かせた。
「衝突…だよ」
「ふむ」
「全通念と村通念、そして村通念と村通念… この不一致が衝突になってるよ。1つ目のね」
「ふむ、では2つ目の衝突はなんじゃな?」
「僕自身の3つの常が引き起こす衝突だよ。あとはAさんBさんの衝突かな?」
「ふむ、少年自身が起こす衝突とは、何のために起こるのじゃな?」
おじいさんが興味深そうに聞いてきた。
「僕の普通を証明するためにだよ… 3つの常でね」
「ふむ、では証明できなかったときは、どうするのじゃな?」
「腑に落とす…ってやり方をしてるよ… 無理やりに」
「酸っぱいブドウ…というヤツじゃな?」
「うん… アラ探し付きでね」
答えていてドンドン気分が滅入ってくる。
それでもおじいさんの探りは続いた。
「では、一致しておれば衝突は起きんのかのぉ?」
「いや、起きるよ。ただ、不一致の衝突よりはマシみたいだよ。引き際っていうか、落としどころっていうのが出来るからね」
「ふむ、どうやら、3つの常がわかってきたようじゃのぉ」
「僕、3つの常は怖いけど簡単なモノだと思っていたよ。でも、刷り込みが加わったとたんにモノの見方がひっくり返されたような感じだよ」
「ふむ、では他に気になることはなんじゃな?」
「前にも話したと思うけど、被害者や弱者なんかを{かわいそう}って思うことだよ。その刷り込みが、更なる被害者や弱者を作り出してるよ」
「ふむ」
実際にそれは、僕のクラスでも頻繁に起きていた。
意図的なのか無意識なのかは関係なく、ほとんど全員が、それをやっていた。
「でもおじいさん、3つの常も刷り込みも結果だとしたら、その原因ってなんなの? なんで3つの常や刷り込みが存在するの? なんのためにあるの?」
「・・・・」
おじいさんが無言で、{自分で探ってみよ}というような感じのオーラを発していたので、僕は自分が言った言葉を検証した。
(んッ? 存在? なんのため? …ため?)
脳内コンピューターが熱を帯びてきた…
僕は、疑問が仮定を生み、その仮定が新たな疑問を生むという、出口のない世界に入り込もうとしていた。
(う~~~ん・・・)
でもやはり、そうやって脳みそから湯気があがっている僕をおじいさんがそこから引き戻してくれた。
「まぁそう慌てるな。とりあえず刷り込みには、どんなものがあるのかを探ってみるがよい」
「…うん」
おじいさんは、白髭を撫でながらボンヤリとした雰囲気で言ってくれたので、僕も肩の荷を降ろすように気がほぐれていった。
**********
やわらかい風が、冷却ファンのように僕の脳内のコンピューターを冷ましていく。
川のせせらぎの音が、乱れた体内リズムを調整して取り戻してくれる。
その心地良さは、頭の中を整理するために必要な素直さを教えてくれた。
「ん~でもおじいさん、刷り込みと言ったって、漠然としてて掴みどころがないような感じがするんだけど… どう考えたらいいんだろ?」
おじいさんが、{サービスじゃぞ}っていう感じで、眼で合図してきた。
「では少年、{お金}というモノに対しては、どんなイメージがあるのじゃな?」
「お金?… イメージ?.. たくさん欲しいなぁとかだけど、ハハ」
「ふむ、まぁ例えばじゃ、
・Xという人物は、ケチ・強欲・嘘つき・悪人
・Yという人物は、誠実・正直・善人
と仮定して、そのどちらかが金持ちだとすると、金持ちはどっちだと思うかの?」
「Xだよね」
「そういうことじゃよ」
(そういうこと? んッ? なんか引っ掛かるぞ)
「チョット待ってね、おじいさん…」
「ふむ」
どうやらおじいさんは、僕の思考回路を休ませてはくれないようだ。
でも不思議とオーバーヒートの様子がない。
逆にバージョンアップして、脳内の電気信号がスムーズに流れていくようになっている。
「あッ、わかった! お金を汚いものだと思ってる… そして、すり替わってる」
「ふむ、では、それはなぜなのじゃな?」
「これもひとつの酸っぱいブドウってことだよね?」
「ふむふむ、ほかには?」
(・・・・{!})
「あッ、桃太郎だ」
「桃太郎が、どうしたのじゃな?」
「お金をキビ団子とした場合、ホントはキビ団子が欲しいのに、キビ団子を取ると、人から強欲とか卑しいとか思われるのがイヤで、ほかを選ぶ人がいるってことだ!」
「それは、なんなのじゃな」
「…{!}あッ、大義名分だ!」
「ふむ」
「んでも、その旗は薄汚れて真っ直ぐに立ってないけどネ… ハハ」
パチパチパチパチ
おじいさんが、おっとりとした表情でやわらかい拍手をしてくれた。
「ふむ、これで少しは刷り込みを探ってみるヒントになったかのぉ?」
「うん、かなりね。でもやっぱり3つの常も合わせて考えないといけないね」
「では少年、今はどんな気分じゃな?」
「えッ気分? ん~、なんだかスッキリしてるよ。このスッキリってやっぱり、前におじいさんが言った{見えたから}なのかな?」
「ふむ、それとは少し違うかのぉ」
(だよなぁ… この前は見えたし、周りで起こっていることは、最近よく見ることが出来るようになってきたもんなぁ)
「じゃぁ何なの?」
「知ったからじゃよ」
(知らないけど知っている… この知らないを知ったってことかな?)
「知ったから? でも僕、刷り込みはこれから探すんだから、まだ知らないよ」
「少年は、刷り込みという存在自体を知ったのじゃよ」
(存在自体? わからん… う~ん…)
「フォッ、ホッ、ホッ、難しく考えすぎじゃ少年」
(おじいさんって、いつもコレだよな。僕をからかって遊ぶときって…)
そう思うと、呆れてきて全身の筋肉が緩んでいった。
「ふ~ん、良くわかんないけどまぁいいか! スッキリしてんだし、アハハ」
「フォッ、ホッ、ホッ、では少年、見えたから、そして知ったからイライラから解放されてスッキリする。ということを裏返してごらん」
(裏返す?… あッ、僕とおじいさんが、たまにやってることか! それなら簡単だ)
「見えないモノ、わからないモノに、不安や恐怖を感じるってことだよね?」
「うむ、少年は今回、そのことを学んだのじゃよ。刷り込みを使ってな」
(…使ってな???)
最後のところは何だかよくわからないけど、これで僕の中学校生活と、チョット風変わりな反抗期は終わっていった。
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【質問】
アカチャンガ ウマレルト ナゼ オメデトウト イウノデスカ?
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【少年編《10》刷り込み】おしまい。
【少年編《11》ありんこ】へ