第1話から読んでない方はホームからどうぞ。
取り残されてる気分を味わいながら、僕は高校生活を送っていた。
といってもそれは、異国にいるような感じの疎外感だ。
僕の高校には、保育園時代からの幼馴染みがひとりもいないので、僕の村通念なんか一切通用しない。
その疎外感は、何ともいえない気分を僕に味あわせた。
つまりそれは、同意を得ることを失ったことによる、居心地の悪さみたいなものだった。
(全く違う村通念がたくさん集まってるな…。しばらくおとなしくしておこう)
そう思った僕は、息をひそめて様子を伺いながら高校生活を送ることを決めていた。
でも入学から2ヶ月も過ぎ、周りを見ると案の定だ。
村通念vs村通念の対立がチラホラ始まっている。
幸い僕は、その小競り合いに巻き込まれることはなかったけど、各村通念に何度か同意を求められて返事に困っていた。
「アイツら生意気なんだよな。お前もそう思うだろ?」
「えッ、ああ… でも3年間、一緒の学校に通うんだからさぁ、仲良くしたら?」
僕は、こんな風に全通念らしきことを言っては、はぐらかしていた。
そりゃそうだ。
ついうっかり、{うん、そうだね}なんて返事をしようものなら、その徒党に組み込まれてしまう。
そんなの真っ平ゴメンだ。
それはやはり中学生の頃、徒党vs徒党のつまらない小競り合いや、意味もなく群れを成して闊歩するシーンを、幾度となく目の当たりにしてきたからだった。
まぁその徒党ときたら、学校の行き帰り、小休憩時間、昼休みはもちろん、サボって学校を早引けする時間まで一緒の行動をしていた。
誘い合ってトイレに一緒に行く光景を見たときには、ゾッとして鳥肌が立ったくらいだ。
またその徒党に、虎の威を借る狐みたいなヤツがいるのも気に食わなかった。
{なんだよコイツ、コバンザメや金魚のフンでもあるまいし…}と、毎度のごとく思っていた。
僕たち幼馴染みも、みんなでよく遊んでいたので、傍から見れば徒党に見えたかもしれない。
でもだ。
僕たち幼馴染みは、みんなそれぞれどこか1匹オオカミ的なところがあって、他とは異なる仲間意識というものがあった。
徒党や不良なんかに絡まれても、誰も助けに入ることはしない。
それどころか、無視してその横を通り過ぎていく。
徒党や不良が恐いとか、面倒くさいということじゃない。
もし助けようものなら、助けられた本人が情けない思いをする。
そんな思いをさせたくないし、そんな思いなんかしたくもない。
それはつまり、こういった場合、幼馴染みの同い年の間では{自分のケツは自分で拭く}ということをしなければ、対等な関係が成立しなくなる… ということなのだ。
助けに入っていいのは、年下の場合だけだ。
でも、その年下も、絡まれても頼ることなく全力で戦っていなければ助けることはしない。
それに助けたとしても、相手に軽くひとこと言う程度だ。
年上と年下との関係は、これで対等としていた。
こうやって各年代、見栄と思いやりを混在させながらも、{対等}という意識を区別の中に見いだし、公平や平等を築いていくという、ある種の気骨さがあった。
僕らは空き地の遊びの中で、この気質…、そして情けを身につけていったようだ。
あのバラエティー集団は、そうやって秩序を教え、伝えていたのだろう。
ってなワケで、そこら辺のチンケな徒党は、到底理解できなかった。
だから、そんな徒党を見ると、
{コイツら一人じゃ何にも出来ねぇのか? それにトイレにオバケなんていねぇよ}
くらいに思って、眉間にシワを寄せていた。
つまり僕の中には{徒党=弱虫}という図式がインプットされているのだ。
まぁ、いろんな虎の威を借る狐がいて、観察すると結構面白かったけどネ。
(お前、仲間じゃなくて、ただの使いっ走りだよ)みたいに。
僕はそんな感じで、居心地の悪さと面倒臭さからの回避と逃避をやりながら、高校生活をダラダラとやり過ごしていた。
でもダラダラ感とは別に、退屈なのは高校に入ってからも変わらない…
(なんだか退屈だし、チョイとおじいさんに会いに行ってみようかな?)
そう思った僕は、次の日曜日におじいさんに会いに下の川に行くことにした。
**********
その日曜日。
(やっぱりいる… どんだけヒマなんだろ…)
「おじいさん」
「おや少年か、高校生になった気分はどうじゃな?」
「どうもこうもないよ。ありんこみたいに小っちゃくなってやってるよ」
「ありんこみたいに、か… ふむ」
「おじいさん、そんなことより{お祝い}頂戴しよっかな? まだ貰ってないし」
「ふむ、お祝いか… そうじゃのぉ」
おじいさんはそう言うと、落とし物を探すように地面をキョロキョロと見渡して、
「おお、おったおった。少年、これは何じゃな?」
と、蟻の行列を指さしてきた。
「何じゃなって、どう見ても{ありんこ}でしょ? おじいさん何に見えんの?」
「蟻じゃな… たぶん」
(たぶんって、まさか…)
「チョットおじいさん、まさか哲学の話でもしようとしてんの?」
「フォッ、ホッ、ホッ、すまんすまん。チトからかっただけじゃよ」
(あ~もう、面倒くさいなぁ…)
「もう、わかったから話を続けてよ、おじいさん」
そう言って、ふて腐れていく僕におじいさんが話を再開した。
「少年は、この蟻を見てどう思うかのぉ」
「・・・・」
(ありんこを見てどう思うかだって?… 哲学じゃないなら、何だか変なお祝いになりそうだな)
僕は一列に並んだありんこを見て、思いつくままに答えた。
「小さい、黒い、力持ち、ん~、あとはやっぱり働き者だなぁって思うけど…」
「ふむ、働き者か… では、ここにポツンと1匹だけいる蟻は何をしとるんじゃな?」
おじいさんは、行列から少し離れた小石の陰で、ジッとしている蟻を指さした。
(あれッ、何やってるんだろコイツ… 隠れるようにジッとしてるぞ。餌を探してるようでもないみたいだし… んなら)
「このありんこ、はぐれたんじゃないの? 寂しいのかな?」
「フオッ、ホッ、ホッ、はぐれて寂しいときたか… ほかには?」
「それじゃぁ、象が死ぬときに群れからいなくなる…みたいなことしてんのかな? でも、遊びほうけて、あとで困るキリギリスよりはマシなんじゃないの? ハハ」
そのとき僕は、{キリギリスなんかにゃならねぇよ}って、ガリ勉くんの吐き捨てた言葉に心の中で言い返していた。
「ふむ、キリギリスよりはマシか…」
おじいさんは白髭をしごいて、その小石の陰でジッとしているありんこを見つめながら、とんでもないことを話しだした。
**********
「実はコイツ… サボっておるのじゃよ」
(?・・・!)
「えッ! このありんこ、サボってんの? ホントに?」
「たぶんじゃが、そうじゃろうのぉ」
衝撃的だった。
僕は、すべての蟻は働き者だとばかり思っていた。
「ということはおじいさん、蟻は働き者って、これも刷り込みなんだよね?」
「まぁそうじゃが、それはさておきじゃ」
おじいさんは、行列してる蟻とサボっている蟻の間に腰を下ろした。
僕も早くその話の続きが聞きたくて、おじいさんの正面に座って続く言葉を待った。
「蟻の社会は、{2‐6‐2}の割合に分かれるのじゃよ」
「2‐6‐2の割合?」
「ふむそうじゃ。良く働く蟻が2、ボチボチ働く蟻が6、働かない蟻が2、の割合でじゃ。ほかもあるようじゃが、とりあえず{2‐6‐2}と覚えておくとよいじゃろ」
(2‐6‐2…?)
「何でそんな風に分かれるの?」
「まぁ少し考えてみるとよい」
「・・・・」
(考えろったって、何をどうやって考えるんだろ?)
僕はどこから手を付けていいかわからず、呆然とする頭を振ってから、とりあえず思いついたことを質問してみた。
「じゃぁ、おじいさん、働かない蟻ってサボってばっかりなの?」
「ふむ、働かない蟻は、こうして小石の陰に隠れている蟻もおれば、ほとんど巣の中で何もせずに一生を終える蟻もおるみたいじゃな」
「そんなキリギリスみたいな蟻、いらないじゃない」
「ふむ、研究者がそう思って、働かない2割の蟻を排除して観察したら、残った蟻の集団が、また{2‐6‐2}に分かれたそうじゃ」
「え~ッ、働いてた蟻が、働かない蟻に変身すんの?」
「そうみたいじゃのぉ。その逆もまた然りじゃ」
「逆も? じゃぁ、働かない2割の蟻が、2‐6‐2に分かれたってこと?」
「ふむ、そうじゃ」
意外だった。
僕はもう、サボるありんこがいること以上に驚いて、そのありんこ達から眼が離せなくなっていた。
「{2‐6‐2の法則}それが今回のお祝いじゃよ」
そう言って、おじいさんが話しを終わらせようとしたので慌てて引きとめた。
「チョット待っておじいさん。せっかく面白くなってきたんだから、もう少し付き合ってよ。とりあえず考え方くらい教えてよ」
「ふむ、考え方とな… 難しいことを言うのぉ」
(ったく、難しいことを言ってんのはどっちだよ… それに自分で振っておいて無責任だよなぁ…)
そして、僕の緊張が緩んだそのときだった…
ピキューーーーン
({2‐6‐2の法則} …法則? …集団?)
「{!}(もしかして…)」
「おじいさん、この{2‐6‐2}って、人間の集団にも当てはまるんじゃないの?」
「ふむ、例えば?」
「小学校でも中学校でも、1クラス40人前後の集団だったんだよね。分かりやすく50人ってすると、勉強するヤツが10人、しないやつが10人くらいの割合でいたよ。勉強できる、できない、する、しないって言い換えてもいいかもしれない」
「ふむ、では、今の高校ではどうじゃな?」
「…あッ、もう既に分かれてるような感じがする」
(なんてこった… ありんこと一緒じゃないか…)
僕の高校は学力でいえば、中のチョイ下のランクだった。当然{2‐6‐2の法則}でいえば、{6}の人間だ。
上の{2}は進学校に進むので当然にこの高校にはいない。
また下の{2}は、この高校は推薦や特待制度がないため入れない。
だからこの高校は、中くらいの頭で、ボチボチ勉強するっていうヤツがほとんどのハズだ。
それなのに高校に入ってから僅か3ヶ月と少しの間で、勉強する、しないでは、あらかた{2‐6‐2}に分かれていた。
元は、ボチボチ派だったハズなのに…
(これは面白いぞ! 退屈しのぎとかのレベルじゃないぞ、こりゃぁ)
僕は、脳の片隅に保存された過去の記憶を、徹底的に洗い出す作業に取り掛かった。
保育園時代、小学校時代、中学校時代… それぞれのクラスや部活…
(たしかにそうだ。掃除ひとつにしても、するヤツしないヤツに分かれてた。それに保育園時代も全員でけなし合いをやっていたんじゃない。けなし合いに参加しない子もいたんだよな。でも中に、ズバ抜けて…)
そう思ったときだった。
ピキューーーーン
再度、僕の頭を稲妻が横切った。
(ん? まさか?)
「ねぇ、おじいさん」
「なんじゃな少年」
「2‐6‐2は、更に分かれるよね?」
「どういうことじゃな?」
「2‐6‐2って、3つに分かれているけど、それぞれがまた2‐6‐2に分かれるよね?。わかりやすく20‐60‐20ってすると、上と下の20は、4‐12‐4に分かれて、60は12‐36‐12にだよ」
「ふむ」
「つまり4%… 25人に1人の割合で、ズバ抜けてるヤツがいるんじゃないの?」
「4%でズバ抜けてるのかのぉ?」
(???)
「っていうことは、まさかその4%も2‐6‐2に分かれるの?」
(とすると、え~ッと、0.8%か…)
「じゃぁおじいさん、0.8%がズバ抜けてんの?」
「まぁ、潜在的にはそういうことになるじゃろぉな」
(潜在的ときたか… そうだよな、環境とかあるし…それに)
「ホレホレ少年、また脳ミソが熱くなるぞ。それ以上はやめておくのじゃ」
(って、嗾けたのはおじいさんでしょ… まったくもう!)
そんな僕の態度を察してか、おじいさんが、
「まぁよい。とりあえず、2‐6‐2の法則と4%をシッカリと覚えておくのじゃ。そして考えるのじゃ。現実をシッカリと見据えてな」
と、念を押してきた。
おじいさんが話を終わらせようとしているのを感じた僕は、食い下がった。
「2‐6‐2と4%っていっても、何でそんな風に分かれるの?」
「それを少年、お主が考えるのじゃよ」
「考えるといったって、なぜ働かない蟻が存在するのか? なぜ知能や能力なんかが、その法則に従って分かれるのかを理解しろっていうの? そんなのわかるの?」
「わかる、わからないの問題ではないのじゃよ」
(え?…わかる、わからないの問題じゃないって意味不明なんだけど…)
「だったらなんなの? 僕は何を学ぶの?」
「お主がお主であるための… その土台じゃよ。少年」
(?…土台? …僕の? …3つの常や刷り込みも、まだ中途半端なのに…)
「でもさぁ、おじいさん・・・」
と言って振り向くと、おじいさんは、とっとと帰ってしまっていた。
(こんなのアリ?… つまらん…)
そういうことで、おじいさんのお祝い強制終了した。
**********
その翌日からは、僕の観察する眼がガラリと変わってしまった。
何をするにも2‐6‐2の法則と4%が頭からこびり付いて離れない。
すべてをこの法則に当てはめて物事を考えるようになっていた。
僕は観察できるものは観察し、観察できないものは本屋に行って統計学やら社会学やらを引っ張り出しては調べに調べた。
この法則の本や類似する本も当然に読み漁った。
資料がないときは、フェルミ推定を使ってやってみるなど、とにかく数字、数字、数字のオンパレード状態…
学校の勉強なんかそっちのけで、この法則を解き明かそうとした。
(ん~ッ、働きアリの法則の本を読んでみたけど、現実と照らし合わせてもよくわからんぞ。でも、当てはまる事と、当てはまらないことがあるな… なんでだろ?)
僕の頭の中はパニック状態ではないにしろ、脳内回路のあちこちで小さなフリーズを起こしながら月日を過ごしていった。
「アハハハハハ」
どこからか笑い声が聞こえたので目を覚ますと、クラスのみんなが僕を見ながら笑っているのがボンヤリ見えた。
どうやら僕は、授業中に寝てしまっていたようだ。
「おまえ今、変な寝言を言ってたぞ。アハハハハハ」
「んっ? 寝言? どんな寝言を言ってた?」
寝ボケ眼で隣の友だちに聞いてみると、
「ありんこが1匹、ありんこが2匹、ありんこが3匹って、お前、ありんこを20匹まで数えてたぞ」
という返事。
数学の先生も、{おまえ大丈夫か?}という表情で僕を見てる。
(こりゃイカン、暫くの間、考え込んでたから少し脳ミソがおかしくなったかな… しばらくこの法則から離れないといけないかもな。そうだッ、リフレッシュしよう、リフレッシュ!)
ってなワケで、しばし休息を入れることにした。
*********
それから2か月後の日曜日。
「お兄ちゃん、こんにちは~」
と言いながら、マーくんが僕の家に駆け込んできた。
「おッマーくん。遊びに来てたのか」
「うんッ」
2年ぶりに会うマーくんも、もう中学生なので大きくなってる。
この年代の子は反抗期やらテレやらで、こんな風に挨拶してくる子は滅多にいない。
でもマーくんは、そんなの関係なく笑顔を振りまいて近寄ってくる。
かわいいヤツだ。
「んじゃ、ミーねぇちゃんに挨拶にでも行くかな。行くぞマーくん」
「うんッ、行こう」
まぁ、行くぞ!っていったって、20歩も離れてないんだけどネ。
「久しぶり、ミーねぇちゃん」
「あら久しぶり。良い子にしてたかなぁ?」
「ボチボチね…っていうか、もう高校生なんだから、その挨拶やめてよ。アハハ」
「アハハハハ」
これだコレッ、この感じだ。
ゆったりというか、ほっこりというか、海がキレイな小さな南の島で、バカンスを満喫しているかのようなこの感じ。
僕の全身がトロけていくのがわかる。
(そういや、マーくんが小さいときだったよなぁ、チョコレート…)
僕の目の前に、あのときの光景がありありと蘇えってきた。
マーくんの小さな手… ばぁばぁのシワクチャな顔… あのとき食べた料理の味や香りまでが漂ってきた。
(懐かしいなぁ… あのころ僕も保育園に通ってたんだよなぁ)
そんなポカポカした陽だまりにいるような感じに包まれていると、僕はあることを思い出して苦笑した。
「プッ、クッ、クッ、クッ」
「なんだよ急に、気持ち悪いねぇ」
ばぁばぁがそんな僕を見て、何か悪さをするんじゃないかと疑ってきた。
「いやいや、違うんだよ。今は使ってないけど、マーくんが小さな頃にバァバァがマーくんに対して赤ちゃん言葉を使ってたでしょ。それを思い出して笑ってたんだよ」
「ふ~ん、ホントかねぇ?」
(やっぱり疑ってる。まぁ、バァバァがそう思うのは無理もないかな。僕がニコニコしているときは、お菓子を貰うときかイタズラするときだったからな)
そんな他愛もない事で、僕は十二分にリラックス状態を楽しんでいた。
のだけど…
カタ・・・カタカタカタ・・・
不意に僕の脳内コンピューターが動き出そうとしていた。
(チョット待った! 今はリラックス中だ。やめろ!)
眉間にシワを寄せ、軽く頭を振ってコンピューターを止めようとした。
(今はダメだ。もうチョットこの雰囲気を味わいたいんだ)
カタカタカタカタ・・・
カタッ!
バチバチッ!
ピキューーーーン
「あッ!」
脳内回路の電流が交錯し、またあのときみたいに声を上げてしまった。
「どうしたの? お兄ちゃん」
「あッ、ああ… チョット忘れ物を思い出しただけだよ」
「相変わらず忘れ物ばっかりしてんのねぇ。変わんないわねぇ」
ミーねぇちゃんとバァバァが、{しょうがない子ねぇ}という感じで笑ってる。
そりゃそうだろう、忘れ物にかけちゃ僕の右に出る者は滅多にいやしない。
でも今回は違う。
忘れてたことでもなんでもない。
(2‐6‐2の法則、そして赤ちゃん言葉…)
僕は、点と点を線で結び、あることを脳内スクリーンに映し出していたのだ。
その理由を探っていると、過去に読んだ本のことを思い出した。
【知識や経験はひとつのハブ(点)になる。多くの知識や経験を重ねると、そのハブは当然たくさんできる。そしてそのハブは必ず線で結ばれ、新たなハブの受け入れを容易にする。また、そのハブ同士を組み合わせて自在に表現させることもできる】…と。
2‐6‐2の法則のハブと、赤ちゃん言葉のハブ…
この何の接点も無いように思える事柄だけど、それらを補完するハブがアプローチをかけ、点をつなげてくれたようだ。
でも、脳内スクリーンに映し出されたモノは、答えではないことはハッキリしてた。
しかしそれは、{大きな手掛かり}ということだけはハッキリと言える。
(おじいさん…)
無性におじいさんに会いたくなってきた。
でもそれは答えではなく、まだ大きな手掛かりという状態だ。
(少し頭を整理してから会いに行こう… 会うのはそれからだ)
僕は、はやる気持ちを抑えるために3人の顔をゆっくりと見渡した。
そして柱時計のボ~ン、ボ~ンという音色に身をゆだね、陽だまりの中にに戻っていった。
**********
【質問】
アナタハ アリンコノ ホウソクデイエバ ドコニイマスカ?
アナタガ ゾクスル シュウダンハ ドウデスカ?
**********
【少年編《11》ありんこ】おしまい。